桜通り歯科便り#6

口の中の細菌と肺炎の関係

口の中の細菌と肺炎の関係

口の中にいる細菌の数を知っていますか?

大人の歯がある人で300~400種類
よく磨けている人の口の中には1000億~2000億個
あまり磨かない人、磨けていない人には4000億~6000億個
ほとんど磨かない人には1兆個もの細菌がいるとされています。

口の中の細菌はいつ増えるの?

その数は朝起きた時が最大になります。
それは寝てる間は副交感神経支配(身体を休める神経の活動)になり、口の中では唾液の量が減るからです。
唾液にはお口の中を洗い流す効果、免疫に関わる仕事があり、その量が減ることは細菌にとってはとても喜ばしいことです。
それに加え、寝ていてリラックスしている状態では筋肉が緩み口は開きやすく、更に口呼吸があれば、口の中は尚いっそうの乾燥状態となります。
細菌は平均して3時間以降で爆発的に増えてきて、8時間を迎えるころには飽和状態を迎えます。

どれくらいの数の細菌がいるの?

その数をわかりやすく示すとよく磨いている人の寝起きの唾液1ccの中にいる細菌数は糞便1グラムに含まれる細菌数の10倍です。
水の比重で言えば1cc=1ml=1グラムです。

寝起きに口が臭い人の理由の多くはそこにあると思います。

あまり磨かない人、磨けない人、ほとんど磨かないひとは論外ですが、寝る前の口の中の細菌数が多ければ多いほど、寝覚めの口の中は恐ろしい数の細菌数になっているはずです。虫歯予防、歯周病予防、口臭予防、その他の疾病予防はこの細菌の数をいかにして少ない数にするかということが非常に大切で、それは歯磨き、その他の清掃方法の質と時間、行うタイミングにあるといって過言ではありません。

口の中の細菌と肺炎の関係について

肺炎は死亡原因の第4位にあたります。
その肺炎が原因で死亡する92%が65歳の高齢者です。
時代は超高齢化社会に突入していますから、肺炎はこれから先更にに注意すべき疾病といえるでしょう。
共する私も叔父を肺炎で亡くしました。
65歳以下の人は気にしなくては良いかというとそうではありません。
私の同年の友人が30歳の頃、肺が腐るという病気を患い、入院先から連絡を受けたことがあります。
虫歯を治して、歯周病の治療をするように担当医に言われたということでした。
その時は彼の口の中を徹底して管理をしたことを覚えています。
彼の状態はみるみる改善していきました。

肺炎の原因で口腔内細菌が関与しているもののほとんどが誤嚥性肺炎と呼ばれるものなのですが、気道に食物や水分が入り込むことで発症する肺炎です。
口、気道、食道は近接してあるので、口から食道へうまく送ることができない時に起こり得ます。
うまく送れなくてむせたり咳き込んだりしたことは誰でもあると思います。

1mlの唾液の中には1億個、1gの歯垢の中には1000億個の細菌がいると言われる中で、その量が増えていけばその細菌の塊の中にはカビの仲間であるカンジダ菌も検出されるようになります。
このような菌が気管に入り込む機会が多くなれば肺炎を発症しやすくなるわけです。

加えて免疫力が下がっていれば尚更のことです。

高齢者は唾液量が少なくなり、いろいろな事情から清掃が不十分になりやすく、身体の免疫力も低下していることが多いです。

災害時などのはこの状態に陥りやすい環境と言えるでしょう。
3.11の東北震災の時に私は被災地にたくさんの歯ブラシを持参して配りました。
そして歯磨きの大切さを話してきました。
みなさん疲弊した顔をして、免疫力が下がっているのはその表情だけでも一目瞭然です。
あの環境で肺炎を発症したら命にかかわります。
優先順位が歯磨きなど後回しにされがちな事態だとは思いますが、元気でなければ、病気を患っていては生き抜けない環境だと考えれば、本当は普段時よりいっそう口の中をきれいにする意識が芽生えてもいいのかもしれません。

特殊な環境ではなく、通常生活が送れる中であれば、まずはしっかりと清掃に時間をとり、丁寧なブラッシングをすること、寝る前と朝起きた時は必ず清潔な状態にすることが大事です。そして歯科医院で虫歯は治すこと、虫歯菌も細菌です。虫歯があれば口の中の細菌の数は増えます。歯周病予防、治療を含めた専門的な清掃を行うことはもちろん併せて行うことが非常に大事と言えるでしょう。

なによりバランスの良い食事を摂り、しっかりと睡眠をとり、免疫力をしっかりと高めましょう。

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