よくある質問
Q.05 虫歯になりやすいと思うのですが、なりやすい、なりにくいはありますか? どうすればよいですか?
A.長年歯科医をしていて、歯はそれぞれに硬さがちがうことは常々実感しています。遺伝や発育障害など理由はたくさんあるでしょう。個体差はまちがいなくあります。
それでも虫歯は予防しなければなりません。防ぐためにはいくつかポイントがあると思います。虫歯はどうしてできるのか?細菌の出す酸によって溶かされてできるのですが、歯の一番表面の層、エナメル質は例えるならガラスの様で、強い力が一点にかかると細かなヒビが入ります。そのほころびからは虫歯ができてきます。噛み合わせが悪い箇所ほど虫歯はできやすく、歯と歯の間の接点に虫歯ができやすいのも、汚れがたまりやすいという理由以外にその点があると思います。噛み合わせを治す。歯と歯の間はデンタルフロスを使い、うがいも意識して流すようにおこなう。というのが良いでしょう。
また唾液のことは無視できません。唾液は大まかな汚れや食塊を洗い流す役割と、歯の表面が酸性に傾いているのを中和させる役割、エナメル質の表面からカルシウム、リンなどが溶出しているところに再石灰化を促して補修する役割、免疫細胞を多く含み、細菌などから身体を守る役割があります。なので唾液量が少ない、ネバネバしている人は虫歯になりやすいでしょう。
- 鼻の悪い人は口呼吸になりやすく、唾液量が減ります。耳鼻科にかかるべき場合もあるでしょう。
- 喫煙者の方は唾液の量が減ります。
- 全身疾患をお持ちの方の中には唾液の量が減る方がいます。シェーグレン症候群、糖尿病の方などがそうです。
- 歳を重ねると個人差はありますが、唾液が減っていきます。
- ストレスも大きく関係します。ストレスを感じていると、唾液の量が減り、質もネバネバとしてきます。緊張して口の中がカラカラになる。などはそれですね。
ストレスがかかる→交感神経が優位になる(緊張)→唾液がネバネバしてくる。唾液の量が減る。
ストレスがない→副交感神経が優位になる(リラックス)→唾液がさらさらになる。唾液の量が増える。 - 甘いものをたくさん食べる方は唾液がネバネバとしてきます。
唾液が虫歯のなりやすさにかかわっているのは間違いないことで、いかに質をさらさらに、量を増やすかが重要です。後、唾液が少ないと虫歯になりやすい。ということは細菌の数が増えやすいので、口臭はきつくなりやすいです。
歯磨きの仕方も考えてみましょう。なにかを食べた後は歯の表面が酸性に傾いていて、カルシウムやリンが溶出しやすくなっているといわれます。それを30分程待って、唾液による中和と再石灰化を期待してから歯を磨きましょうということが言われています。しかし私は特にこのやり方を推奨していません。酸性化していることに関しては、唾液の有効性をじっくり待つより食べ終われば水で口をゆすぎ、歯を磨ける環境であれば速やかに歯を磨く。最近の歯磨剤に含まれる成分は優れていますから、再石灰化を促すもの、フッ素の効果が期待できるものを用いるのがよいと思います。
後は定期的に歯科医院で専門的なケアを受けるのが良いでしょう。汚れを染め出して、どこに自分はどこに汚れが残りやすいのか、よく知ることは重要だと思っています。