アスリートの噛み合わせと今後

(1)“良い噛み合わせ”とは

“噛み合わせ”という言葉を知っていても、“良い噛み合わせ”とはどのような条件が揃ったものを示すのかはほとんどの人が知りません。

“良い噛み合わせ”の条件

  1. 下顎(したあご・下顎骨)の位置が正しい位置にあること
  2. 1の条件下で上下の歯の位置が正しい位置にあること
  3. 1.2の条件下で歯の形が正しいこと

この三つが揃って初めて正しい噛み合わせということができます。

簡単なようで、この三つの条件下に集約されている要素は非常に多く、ほとんどの人が満たせていないのが現実です。

1.下顎(下顎骨)の位置が正しい位置にあること

下顎の位置が全身からみて最適な位置にあることがもっとも重要です。なぜならば、身体の重心バランスを考える上で一番上方にある頭蓋骨(頭部)は、その位置や形の変移、歪みなど変形を起こすことで大きな影響を及ぼします。その問題の中心になるのが下顎(下顎骨)の位置です。

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頭蓋骨は23個の骨から形成される、例えると立体的なパズルの様です。その中で下顎骨には下側の歯が並び、上下の歯の噛み合いと筋肉にてその位置が決定されています。上の歯列を要する上顎(うわあご・上顎骨)は下顎骨と違い、鼻の下で二つに別れ、両目(眼窩)の下部を作ります。目や鼻のある上顔面や脳を支える脳頭蓋を組み合ってつくる立体的なパズルである21個の骨の内の二つです。その21個の骨と下顎骨、舌骨を加えた23個の骨の集合体を頭蓋骨と呼びます。

下顎骨がずれた状態でも、上下の歯がその場で噛み合えば、下顎の位置はずれた位置(変移)のまま固定されます。下顎は筋肉により他の骨とつながっており、それぞれにバランスを失った過緊張が現れれば頸部、頭蓋骨は影響を受け、複数骨の組み合う頭蓋骨は歪み、頸部の傾き、捻じれを生み出すことになります。

2 1の条件の下で上下の歯の位置が正しい位置にあること

下顎の位置が正しい位置にあるという条件の下でも、上下の歯の位置が適切でなければ関与する筋肉の緊張と緩和を適正にコントロールすることはできず、下顎の位置を持続させることは叶いません。

中でも上下の犬歯の位置関係はその筋の適正な動作コントロールに深く関与します。歯は前歯から臼歯(奥歯)まで役割が違います。主として動かす筋肉が違い、歯牙単位の圧力に関する感覚の違いもあります。どの歯が噛み合っても良いというものでは決してなく、噛まない歯があるのも良くありません。上下の前歯の当たりは下顎の前方位置を決定し、大臼歯の当たりは下顎の高さの位置を決めます。上下の歯が適正な位置関係にあることで下顎はその位置を維持することができます。

3 1.2の条件下で歯の形が正しいこと

下顎の位置が正しく、上下の歯の位置が正しい位置にあっても、歯の形が正しくなければ、筋肉の緊張緩和のコントロールに問題が生じ、機能上の問題が起こり、結果として不定愁訴を招くことになります。

下顎骨には顎関節が二つあり、咀嚼時の開閉口運動は三次元的に複雑な動作をして、決してカスタネットを叩くような単純な動作を繰り返すようなことはしません。またその動作は欧米人、アジア人、人種により大きな違いがあり、個体差もあります。歯の形が悪ければその動作の角度、歯の当たり方に問題をもたらし、引き起こされる筋の過緊張から動作制限が生まれたり、適正な位置で噛めなくなったり、噛む位置が定まらなくなったりします。そうして下顎の位置にずれ(変移)が起きます。

プラスα

関節の変形、関節の緩みがあることで、上を向いたり下を向いたり頭位の変化が起こることにより重力の影響を受け、下顎(下顎骨)の位置に変化が起きます。なので噛み合わせは寝ている体勢と起きている体勢で一致しないことになります。

*歯科治療では食事の際の咀嚼する体勢を基準として用います。

正しい噛み合わせを求めるということは頭頸部の筋肉の適正な状態を得ることと言って過言ではありません。そして下顎の位置が適正であることということは全身の筋肉の状態が適正であるということでもあります。それを求めるのに歯科の領域にのみに答えを求めるのは困難と言えます。そして歯科の領域が多方面の分野に影響を与えるのもまたしかりです。

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